DIARY

8月2日(火) 再会 1

2011年8月25日

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新しい一日の始まり。
朝9時にB&Bファームの木戸を閉め
目指すはヨークシャー北部の村HAWES。

でもその前に、寄るところが二つ。


まずは、滞英中に住んでいたアパート。
隣人だったローナ&ジョージを訪ねます。
当時80代だった夫妻は私の恩人です。

英国に来て最初に暮らしたアパート周辺は治安が悪かったのか
ある朝起きると、家の前に止めていた車が壊されていました。
言葉もあまり分からない外国の地で、
こういうことがあるとかなり気分が滅入り疲れます。

そこで、新しい住みかを探そうと主人と二人
ありとあらゆる所を車で走りました。


英国では売家には『FOR SALE』
貸家には『TO LET』の看板が立てられているので
ドライブしながら、どこの家(アパート)が貸し出し中か
一目で分かります。

いくつかの物件を見ましたが
どうもピンと来るものがありません。


一体どうすんの・・・途方に暮れていた頃、
ある交差点角のアパートに
『TO LET』の看板が立っているのが目に入ってきました。

「あそこは、どう?」
裏の駐車場に回ってみると・・・
私たちの車に向かって、一階窓からおばあさんが手を振っています。

その笑顔のステキなこと!チャーミングなこと!
思わずとっさに車を降り、手を振りながら入口の方へ走っていくと
彼女は扉を開けて" Hello ! "

どうしたの?と聞かれ、ドキマキしながら事情を説明する。
奇跡的にも私の英語を聞きとってくれ
彼女の言った一言が、" ここがあなたのお部屋よ! "
- え? -

隣のドアを指差しています。

おばあさんの部屋は No.1 。
現在貸し出し中の部屋が No.2 。
お隣さんになりましょうってこと!

もう心は決まっているのだが
一応、この辺の治安や買い物事情を聞く。
うん。完璧!

あともう一つ大事な質問が。
「私がここに来たら、英語を教えてくれる?」
おばあさんはニッコリ、
" もちろん!毎日遊びにおいで。
  朝食は9時に終わるからそれ以降ならいつでもどうぞ。
  きっと私たち楽しくなるわ!"

これがローナとの出会いでした。


さてさて、ローナは元気かな?
一昨年は教会で催した私の個展に、元気な姿で来てくれました。

B&Bから車で5分。
アパートに到着すると、
オレンジ系でまとめられた立派なフラワーバスケットが
たくさん吊るされとっても鮮やか。

車を駐車場に止めると、バッタリ!2階に住んでいたオバチャンに出会う!
" Oh,What a surprise ! "

「ローナとジョージに会いに来たのよ。」と言うと
オバチャンの顔が曇る。
「どうかしたの?」
" ええ。先週の水曜日、ジョージが入院したの。
  それまでも、ずいぶん悪くてね。"
「え?そうなの。でも、大丈夫なんでしょ?」

甘い言葉を期待していたのに、オバチャンったらあっさり言うの。
" もう駄目だと思うわ。
  ここには帰って来れないわよ。きっと。"

「そんな・・・。」
" だって、ジョージはもうすぐ100歳よ!"

そうか、もうそんなになるんだ。
でも、もう駄目だなんて・・・。
さぞ、ローナは気落ちしてるだろうな。

オバチャンはとってもテキパキしてるので
" さぁさぁ、早く!ローナが喜ぶわよ! "と
NO.1のドアをドーンと開けて(え?ノックもしないの?)
" ローナ、ローナ!
  あなたにとっておきのサプライズがあるわよ!"
と威勢がいい。

あれよあれよという間にローナと再会。
彼女を見て驚いた。
やせ細って一気にガクッときた感じなのだ。
ハグした時は泣けてきた。
あの、ゆったりとした丸い背中が、今では骨が突出している。
ただ、私を抱きしめてくれる力は変わらず強くて温かい。

日本の大地震の様子をニュースで見るたび
私たちの事を案じてくれていたらしい。
今日の再会を喜び
" こんなうれしいことってあるかしら!"と言ってくれる。
そして、彼女の目も濡れている・・・。

頭はしっかりしているローナのことなので
話し出すと、まるで昔と変わらない。
ただ、横にジョージがいないけど。

リビング窓際の大きなソファが、昔からの彼女の定位置。
今も、そこから見えるシャドウエル通りやバス停の眺めを
楽しんでいる様子。

そして今夏は、
ちょうど彼女の部屋の真正面に
オレンジ色のフラワーバスケットが掛けられ、見事。

" ちょっとヒロコ、あれを見て。
  ゴージャスだと思わない?
  毎度見る度に、うっとりするのよ。"
と言って、喜ぶローナの顔は、
初めて出会った時のチャーミングな笑顔のまま。

「ほんと!ステキね。
 きっとローナのために掛けられてるのよ。」
" あらっ、ヒロコ!もちろんじゃない。
  クックックック・・・"
やっぱり、ローナはチャーミング!

ひとしきり話しこんだ後
帰り際は " もう帰るの?" と寂しそう。
ごめんね。でも又来るね。
次もこうして笑顔で会おう!
そして、出来ることならジョージも一緒に!


次の訪問先はブライアン。
彼とのはなしは、また明日。